後立山南部(長野) 爺ヶ岳(2669.9m) 2021年7月3日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 3:31 柏原新道登山口−−5:52 種池山荘−−6:37 爺ヶ岳中峰 7:33−−7:49 爺ヶ岳南峰−−8:22 種池山荘−−9:58 柏原新道登山口

場所長野県大町市/富山県中新川郡立山町
年月日2021年7月3日 日帰り
天候曇後晴
山行種類一般登山
交通手段マイカー
駐車場登山口前に駐車場あり
登山道の有無あり
籔の有無無し
危険個所の有無無し
山頂の展望晴れれば大展望
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コメント雨覚悟で登ったら予想外の好天に恵まれてラッキーだったが、関東南岸は大雨で熱海では大規模な土砂崩れが発生していた。予報が予報なのですれ違った登山者は10人程度。先週常念岳山頂で出会った人ともすれ違った。既に種池山荘の営業が始まり、危険な残雪帯は雪切してありアイゼン無しでも安全に通過可能。花はまだ本格化していないがだいぶ咲き始めていた




私にしては遅い3時半に出発 針ノ木岳山頂が雲に隠れているが予想よりずっと天気はいい
針ノ木岳に朝日が差した。東の空は晴れているようだ 一枚岩の標識がちょうど標高2000mの目印
石ベンチ。この近くにシラネアオイが咲いていた アザミ沢。僅かに残雪あり
ガレ沢の残雪はしっかり雪切されていた 樹林帯を突破。上空の雲は薄く青空が透けて見える
種池山荘。小屋前に人影無し 小屋東のお花畑は残雪に覆われていた
立山、剱岳はきれいに見えている 爺ヶ岳南峰。まだ日が低く逆光で眩しい
鹿島槍ヶ岳も雲無し 今年初めての雷鳥目撃。やっぱ爺ヶ岳は雷鳥に会える確率が高い
南峰をパスして中峰へ。鞍部南側に残雪あり 爺ヶ岳中峰山頂
爺ヶ岳中峰から見た南〜西〜北の展望(クリックで拡大)
爺ヶ岳中峰から見た東の展望。一面の雲海で志賀高原、南アルプスは見えず
爺ヶ岳中峰から見た常念山脈と穂高連峰、槍ヶ岳
爺ヶ岳中峰から見た薬師岳
ミヤマダイコンソウ。ほとんどはまだ莟 ミヤマキンバイ。ちらほら咲いていた
イワウメ。爺ヶ岳では少ない コイワカガミ。稜線上にたくさん見られる
爺ヶ岳中峰から見た爺ヶ岳南峰 南峰には残雪帯で追い越したパーティーが休憩中
爺ヶ岳中峰から見た冷池山荘 爺ヶ岳中峰から見た冷池山荘テント場
爺ヶ岳中峰から見た種池山荘 ミツバオウレン
キバナシャクナゲ ミヤマダイコンソウ。一番開花が進んだ株でこんな感じ
ミネズオウ。ここでは少数派 花、葉の形状からしてコメバツガザクラのようだ
たぶんクモマスミレ 鞍部から見上げる爺ヶ岳南峰
鞍部南側の登山道から離れた場所にハクサンイチゲあり コマクサはまだ蕾
たぶんクロマメノキ
爺ヶ岳南峰から見た鹿島槍ヶ岳〜爺ヶ岳中峰
爺ヶ岳南峰から見た県境稜線 アオノツガザクラ
チングルマ チングルマは小さな群落を作っている場合が多い
徐々に雲が上がってきた たぶん往路で見たのと同じ個体
ナナカマドの花 ヒメイチゲ。ネットで同定するのに苦労した
種池山荘東の残雪でパーティーに追いつく 種池山荘
葉の形状からしてミヤマキンポウゲ 小屋前の下り。お花畑はまだ一面の枯草
ショウジョウバカマの蕾 オオバキスミレだと思う
ベニバナイチゴ サンカヨウ
たぶんノウゴウイチゴ。外観はほとんど苺 ツガザクラ
ガレ場の雪渓 ツツジだが細かな種類は不明
ゴゼンタチバナ。樹林帯では上から下まで多く見られる イワナシ
シラネアオイ。石ベンチ付近で2株しか見られなかった 緑の花のゴゼンタチバナ
ニガイチゴだと思う マイヅルソウ。ここでは少数派
アカモノ ギンリョウソウ
ツマトリソウ 針ノ木雪渓。峠までつながっているかな?
扇沢駅駐車場はガラガラ タニウツギ
登山口付近のカラマツソウ。まだ咲き始め 柏原新道登山口到着
扇沢に下りて水浴びした 登山指導所はまだ無人
登山口前駐車場。満車になっていた


・まだ梅雨明けしていないので今週末も天気予報は悪い。金曜日は広範囲で雨で、土曜日は梅雨前線が太平洋側に停滞して南ほど天気が悪い予報だが、前線とは別に日本海側に低気圧が発生して長野でも雨の予報。ただし日曜日の方が悪い予報で出かけるなら土曜の方がマシだろう。でも金曜夕方時点でのTVの天気予報は土曜の降水確率は北部でも50%以上で、7月に入って始まった夏山天気予報は広範囲で「雨時々強い」との予報。雨覚悟で出かけるのならば比較的短時間で登れる爺ヶ岳一択だ。幸いにして今週から種池山荘の営業が始まり、ガレ沢の残雪は雪切済でアイゼンは不要とのこと。念のためにアイゼンは持っていくけどね。

・ネットでいくつか天気予報を見る限りでは、土曜日の午前中が一番雨の確率が低そうだが、いつものように山頂で日の出を狙って登り始めるとまだ雨が降っている時間帯の可能性があり、日の出より少し前に出発することにした。目標は山頂着が7時前後だ。

・金曜夜も長野は雨で、久しぶりの柏原新道登山口の車は2台だけだった。今日は雨だったのに登った人がいるのには驚いた。しかも明日、明後日とも天気予報は悪いので、下手をすればずっと雨に降られっぱなしでガスで展望皆無かもしれないのに。こちらはそれを覚悟で登るわけだが。天気予報がそんな状態なので夜中に上がってくる車は少なく、出発時に駐車場に空きがあった。

・3時に起床すると意外にも雲の切れ間から月が見えているではないか。ただし、月があるのは大町方向で稜線上の雲も薄いかどうかは不明。今は雨は降っていないが予報では雨の確率が高いので、傘を持ち足元を固めるためロングスパッツも持つ。デジカメが濡れてもいいように今回は古いヤツを使うことに。今日は朝から気温が高く、今シーズン初めて半ズボンで出発することに。虫よけは欠かせない。

・柏原新道は道幅が広く周囲の藪は薄いので体に触れる藪は皆無で、雨上がり直後でも体が濡れることは無い。最初の樹林の切れ間からは扇沢がすっきりと見えていて、低い位置に雲は出ていないようだ。大町の夜景も見えていた。ただし頭上に星は全く見えなかった。

・登り始めてすぐに長袖シャツを脱いで半袖に変身。今日は気温が高いだけでなく湿度も高く、すぐに風冷用の扇の出番だ。数時間前まで降っていた雨の影響で登山道上には小さな水の流れもあった。それでもこの登山道は泥濘がほとんど無いのがありがたい。

・いつもより出発が遅かったので明るくなるのは早く、出発して1時間も経過しないうちにライト不要の明るさになった。樹林が開けて針ノ木岳が見える場所で稜線の雲の高さが判明したが、針ノ木岳山頂が雲にかかるかどうかギリギリの状態で、これなら爺ヶ岳は雲の下だろう。でも予報ではお昼くらいまでは天気が回復傾向だったので、時間が経てばもっと雲が取れてくるかもしれない。

・柏原新道には現在位置を示す黄色い看板がいくつもあるが、まだ小屋の営業が始まったばかりだからだろうか、それらの標識はまだぶら下がっていなかった。下山時もまだ無かったので、来週あたりに取り付けるのかな。

・地面に置かれた一枚岩の標識が標高2000mの目印。石畳、石ベンチと進むと針ノ木岳山頂は完全に雲の下になり、雲の高さが徐々に上がってきているようだった。そして上空の雲は薄くなり、青空が見える範囲が増えてきた。思ったよりも天気がいいようだ。

・アザミ沢で初めて残雪が登場するが、ほんの僅かな量しか残っていなかったが雪切りしてあった。次のガレ沢はまだ大量の雪が残っていたが、ここもしっかりと雪切りされていてアイゼン不要だった。この雪の量だと消えるまでに2週間以上かかるかな。近くにスコップがデポしてあり、適宜雪切りをやり直すようだ。僅かであるが雪渓は下流方向に流れているので、時間経過とともに雪切りしたルートも下に動いてしまい、たまに道を付け替える必要があるのだ。

・鉄砲坂を登って森林限界を突破、真夏はお花畑なのだが今はまだただの枯れ草に覆われた斜面だった。そして種池山荘に到着。天気はすっかり回復して晴れていて、まだ日が低く爺ヶ岳南峰は逆光で詳細は見えないが、どうやら稜線に雪は無さそうだ。小屋の前は無人だったが、爺ヶ岳方向には数人パーティーが出発したばかりだった。

・種池山荘東側のお花畑はまだ雪に覆われたままで夏道も雪の下で、残雪帯上部を適当にトラバースしていく。残雪帯が終わったところで先行するパーティーが道を譲ってくれて私が先に立った。振り返ると立山、剱岳は僅かに雲が絡むだけですっきりと見えていて予想以上の好天だった。雨の準備はしっかりしてきたが晴れるとは思わなかったので、帽子を持ってこなかったのが悔やまれる。

・一度低いシラビソの樹林帯へ入り、再び森林限界を超えればライチョウの住処。ここではライチョウを見る確率が高いが、今年の初ライチョウが見られるだろうか。晴れているよりも天候が悪い時の方がライチョウが良く出てくるが、今回は晴れているのに登山道脇に雄の雷鳥一羽を発見。ほとんど動かず鳴きもしないので見落としがちだが、後続のパーティーも無事にライチョウを見つけられたようで立ち止まっていた。私は帰りにもこのライチョウを発見することができたが、帰りはやや離れた地点にいたので、往路より発見がさらに難しかった。

・「てんくら」の予報ではこの時間は風速10m以上の強風だったはずだが、実際にはほぼ無風で半袖半ズボンでも寒くなかった。風があって寒かった先週の常念岳とは大違い。南にはその常念岳も見えていて、梅雨前線の影響はかなり南に限定されているようだ。ただし、ラジオでは静岡東部や神奈川、千葉で大雨が降っていて、道路や鉄道があちこちで止まっていると伝えていた。箱根では48時間雨量が600mmを越えたとのことで、2日間で7月一か月分どころかその2倍の雨が降ったらしい。この時刻では沼津や平塚辺りで川が溢れて浸水したエリアが出ていたが、私が下山した午前10時頃には熱海で大規模な土砂崩れが発生し、この文章を書いている時点で行方不明者の数がまだ分からない状況(安否不明者数約20名)だった。熱海では48時間雨量が300mmを越えて7月の1.5倍近くの雨が降ったとのこと。北アルプスの晴れの天気からは想像がつかなかった。でも確かに南は雲が多く、富士山は見えず、南アルプスで微かに見えたのは甲斐駒から仙丈ケ岳のみだった。

・往路ではいつものように爺ヶ岳南峰はパスして先に中峰に登ることに。爺ヶ岳では南峰と北峰間の鞍部の南側のみにハクサンイチゲが咲いており、肉眼ではなかなか分からないような登山道から離れた位置にしかない。鞍部の南側には残雪があるが、これまた登山道からかなり離れた位置まで後退していた。

・僅かに登り返して縦走路から離れて無人の爺ヶ竹中峰に到着。ガスが上がる前に展望を楽しむ。南側同様に東側も背の高い雲が覆っていて、最初だけ焼山、火打山が見えていたが、やがて雲海に沈んでしまった。志賀高原は全く見えず、四阿山と浅間山だけが見えていた。八ヶ岳は霞んでいたが雲海より高く突き出していた。中央アルプスも見えていたので、少なくとも木曽駒以北は雲がかかっていないようだ。木曾御嶽も霞んではいるが見えていて、乗鞍岳から北側の北アルプスの山々はくっきりと見えていた。後立山も見えていたが、やがて雲に隠れてしまった。当初の天気予報では雨、ガスで展望は無いと覚悟していたのがこれだけ見えれば申し分ない。体感温度は半袖半ズボンのままでも暑いくらいであった。

・休憩中に単独男性がやってきたが、すぐに鹿島槍へと向かっていった。今は天気がいいが帰りまで持つだろうか。私が追い越したパーティーは南峰で小休止した後に中峰に到着。昨夜は小屋泊まりだったようで、ガイドとリーダーらしき男性以外は軽装だった。

・このパーティーが種池山荘に戻るのを追うように私も下山開始。この頃には安曇野側の雲海から徐々にガスが上がってくるようになり、ガスで展望が無くなるまでそれほど時間がかからないように思えた。

・帰りは南峰に立ち寄ってから下山。先行するパーティーには往路と同じく小屋東側の残雪で追いついた。私は小屋には立ち寄らず下山にかかったが、この時間には種池山荘は雲海に飲み込まれて霧がかかっていた。太陽が隠れて涼しくて助かる。下山時は濡れタオルを首に巻いて体を冷却。扇も大活躍した。そして登山口では扇沢に下って今シーズン初めての水浴び。雪解け水のはずだが思ったより水は冷たくなかった。

・登山口前の駐車場は満車になっていたが、橋を渡った先の対岸の広い駐車場には車は数台のみ。登山指導所はまだ無人であった。

・下山中に先週の常念岳山頂で出会った同じ長野市内の男性とすれ違った。同じような行動パターンなので、この夏はまたどこかで会うかもしれない。

・いつものように帰りに花を探しながら写真撮影。山頂稜線付近ではミヤマダイコンソウ、ミヤマキンバイが開花し始め。黄色いスミレはクモマスミレだろうか? それともキバナノコマノツメだろうか? ネットで調べた限りでは砂礫地に生えて葉が厚く深い緑色の葉のものはクモマスミレらしい。今回はこれに該当する。キバナシャクナゲも咲き始め。鞍部のコマクサはまだつぼみだった。数は少ないがイワウメやコケモモ、ミネズオウなども見られた。コイワカガミは広範囲で見られ、樹林帯で咲いているのはイワカガミだっただろう。私にはイワカガミとコイワカガミの区別がつかないが、森林限界以上はコイワカガミで間違いないだろう。アオノツガザクラのような形の花で葉っぱがコケモモのようなものは種類が分からなかったが、ネットでしつこく調べたら「コメバツガザクラ」だった。これで一つ新たに覚えた。コケモモと似た葉と花を持ったクロマメノキがあったが、葉に光沢が無いこと、花が密集せず1つの枝に1つしか咲いていないことで区別可能と下山後にネットで調べて知った。

・南峰から下って種池山荘までの間ではミツバオウレン、アオノツガザクラ、チングルマ、ヒメイチゲなどが見られた。チングルマは今年初めて見ることができ、小さな群落を形成していた。チングルマは草ではなく木なので、一本の木から分かれた枝に咲いているのが一つの群落なのだろう。ヒメイチゲはネットで種類を同定するのに苦労したが、その分だけ忘れにくいだろう。こいつはチングルマとは逆にポツンと咲いている印象。ニリンソウなどの仲間らしい。

・種池山荘周辺ではミヤマキンバイ、ミヤマキンポウゲが咲き始めていた。これらは同じような大きさの黄色の花なので、花を見ただけでは区別が難しいが葉っぱを見れば簡単に分かる。ミヤマキンバイは明確な三つ葉で、ミヤマキンポウゲは菊の葉のように深く切れ込みが入った葉である。それにミヤマキンポウゲはひょろっとした長い茎の先に花を付ける。ちなみにシナノキンバイは名前はキンバイであるが実際はキンポウゲの仲間なので、葉っぱは三つ葉ではなくミヤマキンポウゲと同じく菊と似た形状をしている。来週にはかなり花が咲いているだろう。コバイケイソウはまだ芽が出たばかり。

・森林限界以下ではオオカメノキ、ゴゼンタチバナ、ミツバオウレン、オオバキスミレ、ツマトリソウ、サンカヨウ、ベニバナイチゴ、ツツジ(レンゲツツジか?)、ノゴウイチゴ、ツガザクラ、イワナシ、アカモノなど。ゴゼンタチバナは広範囲で見られ、中には緑色の花のものもあった。数は少ないがマイヅルソウも発見。石ベンチ付近で2株だけシラネアオイが咲いていた。この界隈では白馬岳に登らないと見られない花だ。白馬尻小屋付近に咲いていたと思う。標高が下がったエリアではカニコウモリや大カニコウモリがあるが、これらはまだ葉っぱだけで花は付けていなかった。

 

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